ようやくにしてコロナ禍で様々なスポーツ活動を再開しはじめている。3密対策の工夫をしつつ・・・。春季リーグの際、私は最後まで各大学の意向が開催の方向ならば行うつもりであった。マネージメントに当たった中井さんは大変だったと思う。この秋季リーグについても大きな決断をしなければならなかった。
北海道の学生の場合、Ⅰ部リーグだけでも函館から網走まで、そして苫小牧、旭川と移動のバスを考えただけでも悩ましい問題がある。しかし、不要不急の活動は中止としてこのリーグ戦もその対象と進言されたのには、思わず怒りを覚えてしまった。学生野球は不要不急なのか?答えはノーだ。
昨年の連盟表彰選手のMVP(最優秀選手)は、旭川大学の野原陽介君(投手)であった。彼は沖縄県宜野湾高校から野球も経済も学ぼうとやってきたのであった。地味で苦しい寒中雪中のウェイトトレーニング、一緒に沖縄からやってきた学友の死、肩の違和感、何よりグランドコンディションの悪さ、などなど。そんな時間を克服し球速を増し、コントロールを磨きMVPに輝いたのであった。
この成長過程を見てきた鷲田義典監督の話を聞いて、野原君にとって学生野球とは、彼の実存状態を確認し、何者かになろうとする必要にして危急の活動だったのではないかと私は思った。スポーツが作り上げる人格というものがある。沖縄と北海道どちらもウチナンチューの文化を背負っている。彼が大学4年間で到達した姿を見送ったとき、大学の学生野球は断じて不要不急などでは決してないと心底思えた。
学生諸君、選手諸君、どうか心してリーグに臨んで欲しい。
北海道学生野球連盟 会長
山内 亮史